Thursday, August 18, 2016

人工知能の最近

IBMワトソン
「人工知能、病名突き止め患者の命救う」こんなセンセーショナルな見出しで、NHKニュースが特殊な白血病を特定し、患者に正しい治療法を適用した事例がマスコミを賑わした。
IBMワトソン、Googleディープマインドなどの人工知能ソフトが、話題先行でもてはやされているが、現実社会での適用に関しては、まさにこれから始まると言うレベルだ。企業やアカデミズムでは、人工知能による貢献への期待が大きすぎて、その割に成功した事例が少なく、どうなっているのかと訝る向きも多い。ここ半年くらいで、地道に検討されているケースが増えてきているので、幾つかを紹介したい。

Google Deep Mindで目のスキャンから診断
GoogleはDeepMindを使って、ロンドンのMoorfields Eye Hospitalと共同で、糖尿病性網膜症と加齢性黄斑変性症という2つの特定の疾患の兆候検出に取り組んでいる。Googleによると、2つの疾患を患う患者は合わせて世界中に1億人以上いるという。視力に支障をきたす状態が目を一度スキャンするだけで診断可能になるシステムを構築するのが目的だ。
 Googleは、DeepMindの技術に2つの疾患のスキャン結果の分析を学習させる方法を調査している。2つの疾患の診断は、その複雑さのために眼科医にとって時間のかかる作業だという。この調査は、患者の早期診断を実現する可能性があり、そうなれば、早期に治療を開始できるため、その後の視力低下を抑えることができる。

Google のデータセンターで省エネ実現
Googleのデータセンターチームが2年間かけて機械学習によってコツコツ高めてきた冷却効率を、DeepMindを適用することで、わずか数カ月で4割も削減するという驚異的な成果を出すことが出来た。DeepMindによる、複雑な変化の中から最適な条件を探し出す手法は汎用性を持っているため、今後、数カ月かけて発電設備の効率化、半導体部分のエネルギーの削減、水使用量の削減、スループットの向上など、データセンターの別の部分の効率化に取り組む予定だ。
DeepMindを適用した時のエネルギー消費量

IBMワトソンを10年/1000億円の創薬に
第一三共製薬 「創薬の“匠(たくみ)”と呼ばれてきた研究者の英知や勘を、Watsonに持たせることにより、開発した薬は必ず製品化に成功させるべく挑戦したい」
新薬開発ではまず、100万種類に及ぶ化合物のライブラリーと、薬の標的となるタンパク質の情報から、薬の候補物質となる化合物をスクリーニングする。標的となるタンパク質に結合し、機能を発現する化合物を探索する。その上で、実際の医薬品の候補となるような誘導体を2000種類といった規模で合成し、その中から製品化できそうなものを絞り込んでいく。第一三共はこうした一連のサイクルの効率化に、Watsonを活用する。研究テーマの選定支援や、開発管理プロセスの支援、これらを通じた新薬開発サイクルの短縮化につなげる狙いである。
 このほか、発売済みの薬に関する情報を緊急に収集・報告するような用途にもWatsonを使う。「副作用に関する情報を分析し、当局に報告する」ようなケースだ。Watsonを利用することで「24時間対応が可能」になる。

IBMワトソンが特殊な白血病を特定、患者の命を救う
医師に「急性骨髄性白血病」と診断された60代の女性は、症状に効果があるとされる抗がん剤で数ヶ月間治療を続けたが、改善は見られず容体も悪化。ワトソンによって再度病状を分析したところ、彼女は「二次性白血病」と判明。抗がん剤の種類を変更すると症状が改善し、治療の結果2015年9月に無事退院。判断が遅れていれば、死亡していた可能性もあった。
東京大学医科学研究所はIBMワトソンを使って、2000万件を超える研究論文や、1500万件を超える薬の特許情報を学習させてきた。症状に関連する情報を探り、根拠とともに解決策を提示、15秒で40万件の論文を参照可能にした。この度の診断にかかった時間はたったの10分。
「1人の医師がすべての膨大な医療情報を把握するには限界があり、情報を蓄積してみずから学習する人工知能の活用は、医療の世界を変える可能性を秘めている」。

みずほ銀行 コールセンターでIBMワトソンを利用
みずほ銀行が横浜市神奈川区のコールセンターに、IBMワトソンと音声認識技術を組み合わせたシステムを導入したのは2015年2月。すでに導入から約1年半が経過した。
 オペレーターが顧客からの電話を受ける。会話内容に応じ回答候補となる必要情報が目の前のパソコンの画面に数秒ごとに自動的に切り替わり、映し出される。IBMワトソンがオペレーターと顧客との会話を分析して、適切な解を探し出す。ワトソンは顧客の質問を解析、最適な回答を導き出し、オペレーターのパソコン画面に提示する。会話の内容に応じて、マニュアルや店舗・ATM、ホームページ上の商品、サービスなど五つの区分で各項目上位10位の回答候補を表示する。2015年2月―5月に10席で試験的に取り組みを始めた。インターネットバンキング関連の一般紹介業務が対象で約1万件の利用件数があった。
トレーニングを積むことでIBMワトソンの
正答率が上昇している

人工知能のレベル 
東京大学の人工知能を専門としている松尾研究室では、人工知能のレベルを次の4段階を設けて区別している。家電やIT業界で人工知能を売りにしている製品や技術は多いが、現在議論されているのは、レベル4のディープラーニングの人工知能であって、その内容を理解しておかねばならない。
レベル4の人工知能へ進化中
レベル1、単純な制御プログラムを「人工知能」と称している。
マーケティング的に人工知能と呼ぶだけで、実際は簡単な制御プログラムが埋め込まれているだけのレベル
レベル2、古典的な人工知能
多くの条件分岐のプログラムによって知能があるかのように振る舞うレベル
レベル3、機械学習を取り入れた人工知能
データを元にした、機械学習を組み込んだレベル
レベル4、ディープラーニングを取り入れた人工知能
特徴表現学習を行う、などの条件を満たした、ディープラーニングによる機械学習を組み込んだレベル

ディープラーニングと特徴量
従来の機械学習とディープラーニングの最大の違いは、『特徴量抽出(特徴表現学習)』にある。従来は人間が判断しなければならなかった特徴の分析が自動化されることで、革命的な実用性を持たせられる。
ディープラーニングを使ったgoogleの事例について、「グーグルがネコを認識する人工知能を開発した」という一見すると何でもないニュースが、実は、同じグーグルが開発している自動運転車のニュースよりも、ずっと「本当にすごい」ことと言える。

IBMワトソンのコマーシャルで、俳優と会話するワトソンが面白い。
こちらからどうぞ





No comments: