Monday, April 11, 2016

シンギュラリティは人を不幸にする?


ムーアの法則

最近、シンギュラリティと言う言葉が流行りだした。シンギュラリティは、もともと数学や物理学でよく使われる用語で,日本語では一般に「特異点」と表現されている。
カーツワイルは「The Singularity Is Near: When Humans Transcend Biology)」(邦題は「ポスト・ヒューマン誕生――コンピュータが人類の知性を超えるとき」)を2005年に発表。その中で、コンピュータが全人類の知性を超えて,人間にとってそれ以降の予測が立たなくなる未来のある時期を指し,「技術的特異点」と訳されている。彼はその時期が2045年であると言い,人類にとってきわめて重大な問題が起こり得ると予言したため,「2045年問題」という言葉とともに日本でも話題になった。この背景には「ムーアの法則」(半導体チップの"集積密度"は1年半~2年ごとに倍増する」という経験則)や、コンピュータの計算性能の向上が続けば、いずれコンピュータの能力が人間の脳を超えると予測されることに基づいている。
コンピュータの進化
計算能力は指数関数的に伸びる

彼はとても想像できないような未来を予測している、例えば人間の知能は非生物的知能(人工知能)を取り入れて自らの脳を大幅に拡張する(つまり進化させる)、ロボットがナノ化して人体に組み込まれ身体能力も強化される。その当時(2005年)には信じられなかったことだが、10年を経た現在、コンピュータ進化の影響が現実となり始めているように見える。

人工知能(AI, IBMはコグニティブ・コンピューティングと言う)で近
い将来無くなる仕事を、オックスフォード大学が研究論文で発表し、世界中で話題になった。
同論文の凄味は、702の職種について、コンピューターに取って代わられる確率を仔細に試算したことにある。言うなれば、これから「消える職業」「なくなる仕事」を示したに等しく、これが産業界に衝撃を与えている。右に載せたのは、そうした「消える、なくなる」可能性の高い主な仕事である。いずれもコンピューターに代わられる確率は90%以上という驚くべき数字が弾きだされている。これまでも同様の予想はあちこちで発表されているが、コンピュータやロボットはルーチン的な作業は得意だが、人間の知性を要する仕事は難しく、人に取って代わるためには50年はかかると言われてきた。

しかし、近年のコンピュータによる人工知能の発達は、IBMワトソンのクイズ番組でのチャンピオン獲得、Googleの囲碁プログラムによるプロへの勝利などに見るように、猛烈な勢いで人間の知的領域に進出してきた。ロボットの世界でもこの10月に行われた日本最大のIT・エレクトロニクス見本市『CEATEC』では、人間相手にラリーをする卓球ロボットが披露された。
IBM ワトソン
より高度な知的職業、医療の世界でも、米国のニューヨークメモリアルスローンケタリングがんセンターが、IBMと協業して、60万件の医療報告書、150万件の患者記録や臨床試験、200万ページ分の医学雑誌などを分析。コンピューターが患者個々人の症状や遺伝子、薬歴などをほかの患者と比較することで、それぞれに合った最良の治療計画を作ることに成功している。また、法律の分野でも、裁判前のリサーチのために数千件の弁論趣意書や判例を精査するコンピューターがすでに活用されており、
シマンテック
米ソフトウェア大手シマンテックのサービスを利用すると、2日間で57万件以上の文書を分析して分類することができる。その結果、弁護士アシスタントであるパラリーガルや、契約書専門、特許専門の弁護士の仕事は、すでに高度なコンピューターによって行われるようになっている。 金融機関のエコノミスト達の仕事は、経済情報、統計データ、中央銀行の先行き見通し発言などを分析して経済の見通しを出すのだが、将来、AIに分析させたほうがより正確な予想が可能になると言われいる。

新年度が始まった日本経済界でも、人材が資源の中心である、損保、生保、銀行などのトップが相次いでAI採用による、生産性向上を口にしている。
東京海上日動火災:少子高齢化、事業環境の急速な変化への対応をAIやITの活用による、商品・サービスの拡充によって乗り切りたい。
コールセンターで、ロボットの採用を検討している。
損保ジャパン日本興亜:2000億円程度のシステム開発を予定し、業務の進め方を大幅に見直す。
三井住友海上火災:損害サービス部門のシステム投資をすすめ、生産性の向上をはかる。また、営業部門からの照会業務もAI化したい。
これらの発言は、ホワイトカラー労働者の領域をAIによって置き換えようとする内容ともとれる。

働くという言葉には3種類ある。
繰り返し作業の多い仕事(レイバー)は、肉体労働のイメージだ。多くのレイバーは産業革命によって機械に置き換わった。
産業革命を経て、多くの労働者はレイバーからワークに移行した。ワークは機械やコンピュータを操作しての生産、デスクワーク、営業などの仕事で、主にホワイトカラーが従事してきた。このワークは今や、AIに取って代わられようとしている。
人間の最後の仕事はプレイだ。プレイは遊ぶと言うイメージがあるが、音楽家、スポーツ選手、舞踊家、などにとっては遊びではなく、仕事だ。新しいことをクリエイトする、AIによって生産性を上げ短い時間働いて、本当に人間らしい生活をする、それがプレイだ。
嫌でも、AI化はやって来る。無くなる仕事を嘆くより、プレイできる方法を考えたほうが楽しいのではないか。


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